山行日 1962年8月11日~12日
メンバー 宮坂
初心者を教育する目的で計画したが、参加者は1名もなかったのは残念だった。新宿を4時56分の高尾行快速電車で出発する。
八王子で乗り換え、横浜線の橋本に着く。バス発車まで1時間ほどあるので駅前で夕食を済ませる。
鳥屋に着いたのが8時45分。平戸から越路峠を越えて水沢川に沿って下り、早戸川本流沿いの林道を遡って行く。半月が輝いていて電灯はまずいらない夜だった。例によって裸チョッキになり爽やかな気分で歩く。
六百沢を対岸に見て広河原。堰堤の響きが一人歩きの夜旅には実に不気味な感じである。鎧沢出合より川幅がぐっと狭くなり、高みを歩くようになるがやがて三日月橋を渡って対岸に移る。川筋が東に向いているゆえか屈曲していてもお供のトランジスターラジオが良く聞こえる。
ぐるっと左へ迂回して河原が広くなり本間沢を渡り、2軒の人家を通り抜けると再び川幅が狭くなる所で魚留橋。幅が狭くなる所で魚留橋があって元の左岸に渡り返す。自動車道路は大きく右へ行って折り返すので橋の畔から近道をする(10分くらいは得である)。
魚留橋から15分くらいでこの林道の終点である伝道沢に着く。12時少々前であった。林業の飯場も高みにあるが、起こすのも気の毒だから付近にある材木置場を利用して寝ることにした。
翌朝は6時10分に出発。伝道沢沿いの小道を登って越路峠から大平を経て来る道に出て、円山木沢にかかる滝を眺めながら行けば間もなく雷渕の脇を通って渕の上流で早戸川の河原に下る。対岸に渡って僅か遡ると早戸川は大きく二分されて原小屋沢の出合となる。左の沢は本流で奥へ行って本谷沢と大滝沢とに分かれている。
わらじに替えて原小屋沢に入ると巨岩がゴロゴロしていて跳びながら遡行する。10分くらいすると大きな河原を持った中の沢が左から流入してくる。うっかりすると本流と間違える恐れがある。
二つほど問題にならない滝を越すと、沢は左へ曲がって雷滝が現れる。この滝は一名を"すべり滝"とも称されているが、下半部は崩壊のため砕石に埋まって、昔は立派な滝だったが今は見る影もない。
正面にカヤノ沢が入るとすぐにバケモノ滝となる。これは暗い滝で左側(即ち右岸)の樹林中を高捲きして滝上に下る。沢の中をざぶざぶと歩くので冷え冷えとした感触が実に楽しい。
やがて行く手に大きなナメ滝が現れる。これが「ガータ小屋滝」である。
左岸を滝に沿って捲いて登る。滝上に出れば沢の様相はガラリと変わって傾斜は緩く極めて平凡な状態になってしまう。全くドブの中を歩いているようなものだ。30分もすると沢筋は開けて源流となる。踏み跡も現れて造林小屋を見て緩く登ると水場となり、間もなく原小屋山荘に出る。
帰路は予定に従って姫次に登る。天気も良いし時間もあって一寸コースを変えて袖平の頭を通ってみることにした。袖平からはまるっきり展望のない樹林の道を下る。立派な道である。小洞を過ぎて風越の頭に登る。山頂を出はずれると俄然展望が良くなり相当な急斜面の尾根を一気に神ノ川の長者舎へと駆け下った。
西陽をまともに受けて暑いことおびただしい。長者舎からは自動車の通れる神ノ川林道をスタコラと音久和へ。30分ほど待って満員のバスに揺られて橋本へと帰った。
8/11 | 橋本駅(19:40) → 鳥屋(20:45) → 越路峠(21:22~21:30) → 杉平(21:45) → 三日月橋(22:53) → 本間沢出合(23:20) → 魚留橋(23:28~23:40) → 伝道沢(23:55) |
8/12 | 伝道沢(6:10) → 雷渕上(6:38) → 原小屋沢出合(6:55~7:40) → 雷滝(8:30~8:50) → カヤノ沢出合(9:30~9:40) → ガータゴヤ滝(10:22~11:15) → 原小屋山荘(12:03) → 姫次岳(12:15~13:00) → 袖平の頭(13:12) → 風巻(13:55~14:05) → 長者舎(14:40~15:18) → エビラ沢(16:00) → 音久和(16:55~17:30) → 橋本駅(19:15) |