メンバー 小島、花岡、三村
ある日曜日、私達は一ノ倉に足を向けた、メンバーは3名。でも皆ファイトの塊のような顔なので、即座に滝沢行と決まったのです。私達としては北八ツの時から幕岩が終われば滝沢をとの声が強くありました。
K、Hそれに私の3人は酒井君の見送りに心を大きく上野を出発した。土合に降りた私たちはマチガ、一ノ倉へと足を運んだ。出合から少し入った所でルートを誤り、南稜テラスには2番目に着く。差し入れしてくれたケーキを食べながら、物珍しそうに壁を眺める。そのうちに滝沢下部と烏帽子奥壁に取付いたパーティを見つけ、プリズムで見学する。H君がプリズムを覗きながら私達に手まね足まねよろしく教えてくれる。そのうちに雨が降り始め、出端をくじかれてしまったような感じだ。これで完全に滝沢下部は見送らなければならなくなり、協議の結果2ルンゼよりAルンゼと決定した。誰とはなしに本谷バンドに向かう。静かな残り少ない私の休日を、私達は雨の中をゆっくりと一歩一歩下降して行く。2ルンゼを数十分登った頃、何気なしに本谷バンドを見ると一人のクライマーが5ルンゼを登って行くところだった。H君の速いピッチでザッテル間近な所より滝沢右稜にルートを取る。右稜に立てばザッテルまでは一投足だった。
左からABCDの各ルンゼには水が少しながら流れていた。休む時間の惜しい私達は尚も進んで行くとF1が現れる。H君トップでシャワークライムを余儀なくされ、下着まで濡れてしまうし、雨はみぞれに近い。食べ物を腹に入れようとしても手は凍え、口は震えるばかりで、それでも何とか食べて3人思い思いの歌を口ずさみ、最初の二俣を左に入る。この頃よりマッターホルンが微かに表れる。最初の二俣を私達は左に取ってしまった。約40mくらい登った所で左に4mほどトラバースをするのだが、このトラバースは本当にショッパかった。これを登ると2ルンゼとAルンゼの中間尾根に出る。稜線までは100mくらいだった。この間、雨は降り続けた。稜線に着いても三ツ道具はとらずに肩ノ小屋へ、また来週の一ノ倉入りには晴れるよう、また今日無事登り終えたことを感謝しつつ筆を置く。