山行日 1966年6月26日
メンバー (L)野田、内藤、五十嵐、椎名、山本(義)、今村、斉藤(芳)、黒須
目が覚めた時は三ツ峠駅に着いていた。空には無数の星が輝き、気持ちの良いほど冷気が身にしみる。午前3時、開ききらぬ目を擦りながら歩き出す。コウモリ沢の入口である達磨石付近は以前とは変わったようで、何度も沢へ入るが登山道へ出てしまう。上から見下ろしているハイカーから「あんな変な所をわざわざ歩くなんて」とでも言われているようだ。しばらく登山道を登り、まさかと思って入った沢がコウモリ沢であった。
入って直ぐ、F1はNoさんの確保でSさんが登る。見ていると簡単に登ってしまうので、つい自分も簡単に登れそうな気がするが、そうはいかない。確保をしてもらい登り出すが、怖くて周囲を良く見ながら行く余裕など全くなかった。大滝までは意外と順調に進むが、まだ目が覚め切っていなく足が落ち着かず重い。Naさんにハッパをかけられながら行く。岩は乾いていて一見滑らぬように見えるが、石鹸でも塗ったようによく滑る。最後の15m滝は右岸をNoさんが登り出すが、上部はなかなか難しそうに見えた。ベテランのNoさんが戸惑うような所を岩は初めての自分まで登らなければならないかと思うと不安でたまらない。確保はしてあっても、もし滑落したらと考えると尚更である。しかし、実際にやってみると、万が一足を滑らしても落ちない。死ぬことはないだろうという安心感で、意外と楽に上がってしまった。後はもう上の登山道までわずかである。途中からの富士山が実に素晴らしい。例年にない豊富な残雪のためであろう。
今日の山行目的は屏風岩にて岩の訓練の予定であったが、岩上は蟻が集まったようで、人と人との間から岩が見える(ちょっとオーバーかな)ようで、とても割り込む余地などない。諦めて天狗岩へ行こうとしたところ、一般ルートの左1~2分の所に12~13mくらいの懸垂下降の練習に良さそうな所があり、昼過ぎまでNoさん、Naさんの指導で懸垂下降の練習をする。既に6時間もの行動を取り、前日の寝不足がたたり、動くのが億劫になってしまったが、先輩ご両人のあまりにも熱心さにサボる訳にもいかない。このような点は我が会の厳しいところではないかと思う。午後2時頃懸垂の練習を終え、最短コースである三ツ峠入口へ下山した。車でも通れそうな立派な道だ。尚、この山行で思いついたことは、滝や岩に取付く前に、岩に対して手足のつき方、移動方法などやってもらえれば、より一層良い訓練山行になったように思う。
〈コースタイム〉
三ツ峠駅(3:10) → 達磨石(4:15~4:40) → コウモリ沢入口(5:15) → F4(6:55) → F7(7:50~8:30) → 屏風岩(9:15~14:10) → 三ツ峠入口(15:00)