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夏山合宿 越後駒ヶ岳~平ヶ岳
今村 信彦

山行日 1070年8月8日~11日
メンバー 小島、播磨、鈴木、今村、山本(義)

 8日、前夜臨時急行にて小出に向う。駅で一番バスまで待合室のベンチで寝る者、コンクリートの上で寝て、売店のオバサンににらまれる者、様々だ。
 枝折峠までのバスは、急坂急カーブ断崖でスリル多く長い。今日の目的地である駒ヶ岳は、目前に高く追っている。小倉山まで意外と小さな上下が多く、また強い日射しでピッチが上がらない。小倉山直下の水場で昼食とする。所々にある地塘や高山植物が、なによりの慰めだ。大きな雪渓も見える。付近の山々は、荒々しく大きく見える。駒ノ小屋のキャンプ地に4時着、水場は近く快適な泊場だ。
 9日、起きると朝焼けし、嫌な雲がでている。嫌々ながらの出発。目と鼻の先にある駒ヶ岳まで、すごく苦しい。調子が全くでていない。三角点ピークを往復する気力もなく、播磨、鈴木さんのみ往復する。これよりしばらく下りだが、木の枝、岩にズッコケながら予想以上の嫌な下りだ。ピッチが上がらない。道ははっきりしているのだが、笹の覆い被さった所が随所にあり、不貞腐れもいいところだ。檜木の廊下という所、名前こそいいが、小さな上下が多く痩せた所あり枝の下を潜り、すごく歩きにくい。中の岳の直下で小さな雪渓を見つけ水を汲む。味の悪い水だが冷めたいだけが取り柄だ。山頂も間近なようで意外と辛い。避難小屋のあるピークを越し、三角点ピークで休む。もうすっかり疲れてしまった。道後山から来たというパーティーに遭い、コースについて聞く。兎岳までかなり笹が被って歩きにくいという。中の岳の下りは、最初は良いが、すぐに笹に覆われ、足元の見えない急降下だ。またもや完全に不貞腐れてしまう。兎岳直下は背丈を越すネマガリ竹の中の急登だ。兎岳は荒沢山への分岐点があり、小さな地塘がある。これより大水上山までは、笹藪とお花畑が交互に出てくる。大水上山より平ヶ岳の踏跡を確認し道後山方面へ10分程行った雪渓のある所で天幕を張る。一見平坦に見えた所が傾斜があり、中に入ると転がってしまいそうだ。
 10日、前日から疲れて、出発が遅くなってしまった。付近はガスがたちこめ視界が利かないが、すぐ晴れてしまう。大水上山からの下りが急で笹や木の枝に悩まされる。平ケ岳を遥かに望み、今日は、しよっぱなから皆不貞腐れている。だがしばらくの間、ほとんど上下がなく、軽い下りでかなりピッチを稼ぐ。地図上ではかなりの深山だが、高山植物がなく奥多摩でも歩いているような感じでつまらない。今までのように晴れているが、ガンガン照りでないのが何よりだ。地図上の1709m地点までは、歩き易いとは言えないが、かなりはっきりした踏跡が続くが、これを過ぎると、しばらくの間すごく悪い。途中背丈を軽く超す太いネマガリ竹の中を水場へらしい踏跡に迷い込んでしまう。ほとんど踏跡のない深い藪が続く、そしてこの藪が終ると、またすごく歩きにくい踏跡が藤原山へと続く。ここまでくると、やっと半分くらい来たように思う。平ヶ岳、剣ヶ倉山がぐんと目前に迫ってくる。ここより目の前に二子山のようなピークがあり、意外と良く踏まれており、すごく速いピッチで進む。左側はすっぱり切れたスラブになっている。やっと高山的になってくる。いよいよ剣ヶ倉山が間近になってくるが、道はかなり深い藪が随所に出てくる。一向にピッチが上がらずくたくただ。水筒の水もほとんど残っていない。剣ヶ倉山の手前にあるピークを越えてすぐ、尾根上の右下10mくらいの所に小池を見つける。カエルらしい卵でいっぱいの池だが、水は多少くせがあり濁りもあるが、かなりいける。この剣ヶ倉直下でもう夕方になってしまった。明るいうちに何が何んでも剣ヶ倉山頂まで行かねばならない。皆もうヘトヘトになっている。笹で覆われた良くない道を行くと中段に出て左下に小池を見る。これより山頂まで、またもや深い藪や木の下を体をよじらせ、潜り、すごくきつい。日が暮れもう薄暗くなった頃山頂に着く。三角点上に天幕を張る。藪の中の小さな平地なのでブヨの大群にあう。明日のために水の制限があり、藪の連続ですごく疲れてしまったので、インスタン卜のソバで簡単に済せてしまう。水がないのが何よりつらい。明日は、平ヶ岳の地塘を一人で一つずつ飲み干したいと話題は、水の事でいっぱいだ。
 11日、今日は、何が何んでも2時までに銀山湖へ下らねばならない。夜明けと、ほとんど同時に出発する。これより先は、昨日ほどの藪はない。しかし踏跡はかすかで、時々とぎれがちで、あまり良くなく、かなり深い藪も所々ある。服は露でぐしょ濡れになり寒く、水を飲むどころのさわぎでない。またブヨがひどくうるさい。藪と草原が交互にでるようになると平ヶ岳はもう近い。平ヶ岳に近づくと広い草原状の平坦な踏跡が続く、どこでも自由に踏み、まるで別天地のようだ。今までのつらさを、すっかり忘れさせるような、すばらしい所だ。ここからは立派な登山道がある。あとは下るだけなので楽なようだが、安心したのか疲れがいっぺんに出てかったるい。また、食物は予想以上にたいらげほとんど残りがない。平ヶ岳は小さな地塘がちらばった平地だが、少し下った池ノ岳付近は、より大きな地塘が多くかたまってあり、すばらしい所だ。時間がなく、ゆっくりできないのが残念だ。これより両側の笹が刈払われた道の急降下がしばらく続く。膝小僧が笑ってしようがない。かなり下り軽く上り終えると、第二水場がある。幅広い平坦な尾根上に湧いている。冷めたくてうまい。他に食うものがなく水腹となる。軽い下りで第一水場に着く。これより鷹ノ巣山分岐まで意外と小さな上下が多くありつらい。そして鷹ノ巣への急な尾根は、日陰がなく、ザレザレの急降下だ。最終の船まで時間の予裕なく急ぐ。1ピッチで沢に出る。時間さえあれば、沢に飛び込みたい所だが先を急ぐ。カンカン照りのトラック道を船付場へと急ぐ。食い物は全くない。途中、平蔵の小屋でフルーツ缶詰を買い、食べながら歩く、出航20分前に着く。今日一日、最初から最後まで時間に追われどうしだった。その反動かどうか、今日中に帰宅せねばならぬ播磨さん以外、皆途中の大湯温泉泊り、翌日解散となった。

〈コースタイム〉
8/8 小出駅(6:50) → 枝折峠(8:10~8:20) → 明神峠(8:40~9:30) → 水場(11:15~12:20) → 駒ノ小屋(16:00)
8/9 小屋(6:15) → 駒ヶ岳(6:30~6:50) → 檜木の廊下(10:30) → 中の岳(12:10~12:50) → 兎岳(16:20~16:30) → 大水上山(16:50) → 雪渓(17:00)
8/10 幕場(7:40) → 大水上山(7:50) → 1709m地点(10:20) → 藤原山(13:00~14:00) → 小池(5:05~5:20) → 剣ヶ倉山(18:25)
8/11 幕場(4:50) → 平ヶ岳(7:10~7:35) → 池ノ岳(8:00~8:15) → 第二水場(9:00~9:25) → 大倉山(10:20~10:40) → 鷹ノ巣山分岐(11:20~11:45) → 沢(12:45~13:00) → 船着場(14:00)

夏山合宿の反省
小島 作蔵

 太陽と藪とブヨと池塘。一言で言うと今回の夏山はこの四つの言葉で代表された、夏山であるから、太陽は当然のことであるが、次に出てくる藪、遠くから見ると緑のカーペットのようであるが、この中に入った時の、嫌らしさ、苛立たしさ、駒から平ヶ岳までずっとこの藪になかされたのだ、その次に来るブヨ、これまた樹木の多い夏山にはつきもの、特に平ヶ岳の登りの藪の中では、凄まじかった、蚊柱と言うのは聞くけど、これは、ブヨばしらと言おうか何と言おうか、どぎつく顔のまわりを飛んでいたのだ、藪とブヨが終ると次に池塘が来た、ここでやっと人間らしい環境になった...と言う訳で夏山を無事終了したが、近年になく、予定通り縦走を完了した、一日の行動時間もかなり長く、天幕設営と同時に日の長い夏山も、暗くなってしまったという時もあったくらいに、よく歩いた。それだけに疲労も激しかった。時間には、最後まで追われっぱなしだった、そして最後の日の温泉での一泊は、今までの疲れが一度に洗い流されるような、清々しい気持であった、今回の山行は、とにかくヤッツケタノダと言う気分でイッパイである、ジュウソウだけに胸がスッキリとした(古にいダシャレである)。

夏山合宿の装備とその反省
播磨 忠

装備
○天幕(6人用) 1張
○ツェルト 1張
○バーナー (ガソリン)2基、(ガス)1基
○燃料 ガソリン2L、ガスボンベ3個
○その他 ローソク、食器、炊事用具、クレンザー、殺虫剤(エアゾール式)、メタ(固形)2個

 以上が今年夏合宿に使用した共同装備であるが、縦走形式の登山の場合は、なるべく軽くした方が良いということで、天幕にはグランドシートは使用せず、ツェルトとポンチョで代用したが、充分用を足したと思う。
 また、バーナー、燃料関係では、ガソリン2Lの内約1L強を使用、ガスボンベは1個のみ使用した、しかしこれからの夏山合宿にはガスを多く使用した方が良いように思う、3日目の晩にガソリンバーナーの取扱い上の不注意で、2基共使用出来ず、ガスのみで炊事をしたが、火力以外の点では、ガソリンバーナーよりも利点が多く、2基ぐらい持参すれば充分にカバー出来るであろう。
 今、当会で使用している天幕は、居住性には大変優れているが、重量の点で少々問題があると言う意見や、もっと計画する時間を長くとって、装備の厳選(必要なものと、不必用なものを、よく調べて最少限にしぼる)をする、等々の意見が出たが、よく検討してみる必要があると思う。
 以上が今年の夏山合宿に於ける装備、及びその反省であるが、まだ隠れた問題点が多くあると思うので、これからの山行で、色々研究したいと思う。

夏山合宿の食料計画
播磨 忠
初日 駅弁 パン
ビスケット
チーズ
羊羹
レーズン
林檎
レモン
缶詰
ジャム
蜂蜜
チョコレート
豚汁(じゃがいも、人参、大根、玉ねぎ、ピーマン)
キャベツ、キュウリの塩もみ
2日目
ラーメン
パン
ビスケット
チーズ
羊羹
レーズン
林檎
レモン
缶詰
ジャム
蜂蜜
チョコレート
油いため(キャベツ、ナス、ピーマン、玉ねぎ、豚肉、ハム)
納豆
3日目
ラーメン
パン
ビスケット
チーズ
羊羹
レーズン
林檎
レモン
缶詰
ジャム
蜂蜜
チョコレート
ラーメン
日本ソバ
大根おろし
とろろこんぶ

 以上が夏山合宿の食料計画であったが、今年はいつもの合宿より、行動時間が長くて最終日には、行動食がすっかりなくなり、途中の小屋で缶詰を買うこととなってしまった。これからの合宿には、予備食と共に行動食は、十分買入しなければならないとおおいに反省させられた。


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