山行日 1983年4月9日
メンバー (L)赤松、植村、増田、佐藤(朋)、牧野
同角沢は「丹沢を代表する美しく、困難なそしてすばらしい沢である」と沢に関する書物には書いてあり、又それを信じて未だ水も冷たい4月に植村、増田、佐藤(朋)、牧野、赤松の5名で入山した。
4月8日の夜に車で玄倉まで入り、9日の朝に同角沢出合い着、ここで朝食を済ませ、登攀具を身に着け出発。出合いの滝は左岸を簡単に越す。ここで女性二人は初めてのワラジを履き感動していた様子である。
三重ノ滝は鎖が残っている右壁を登る。不動ノ滝は左壁のバンド状の所より取り付き、少し登って瀑水を浴びて右壁に移るつもりが、水が冷たすぎてパス!。いやらしい右壁をアブミで1ピッチ登り、落口の上の大岩のボルトで確保する。しかし、沢登りが全く初めての女性二人には困難と判断し、ザイルを1本固定し、他の1本で引き上げる。何度も登り降りした植村さん、ごくろうさんです。
その後沢は期待を裏切るほど荒れていた。昨年の台風の影響によると思われ、流木、倒木で混雑していた。誰ですか「丹沢で最も素晴らしい沢」と言った人は。少々がっかりしながらも遡行を続けた。ダルマ石を過ぎ左岸より大杉沢が悪相の滝をかけている出合いを過ぎ、行水ノ滝は左より越え、無名ノ滝は手前の釜の右側へヘツリの練習をしたが、ここで女性二人は見事に釜へドボンし「惜しいけれどネ」の言葉に皆は大笑いした。沢はこれだから止められない、実に楽しい。
無名ノ滝はこの沢で最も困難とされているが、実際に取り付いてみると、ホールド、スタンスとも豊富で快適に登った。しかし、全身ずぶ濡れとなる。相変わらず荒れた沢を行くと、最後の遺言棚が数段に分かれて水を落としている。この滝は非常に脆くいやらしい登りであった。この上で遡行を打ち切り、東沢乗越から大石山への尾根道を行くが、背を超えるクマザサには苦労した。
大石山からユーシンまでは快適な下りで、全員無事下山した。初めての沢遡行の女性二人は本当にご苦労さんでした。台風のために期待外れに終ったが、同角沢遡行は結構楽しめました。帰りは中川温泉で一風呂浴びてくつろぐ、沢と温泉は止められない。