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八ヶ岳・赤岳ショルダー右リッジ
金子 隆雄

山行日 1985年1月27日
メンバー (L)金子、吉岡

 1月26日夜、八王子に集合し車で八ヶ岳へ向かう。美濃戸口へ着き車の中で仮眠し、3時30分歩き始める。行者小屋で朝食をとり、凍えた体を暖めてから登攀用具を身に付けて6時30分小屋を出る。
 金子、吉岡がショルダー右リッジ、大塚、高橋(弘)、湯谷が主稜を登ることになった。小屋から文三郎新道を辿り途中で赤岳沢へ下りる。赤岳沢をラッセルして詰めて行くと、やがて末端壁に行く手を塞がれる。ここで主稜組と別れる。ショルダーリッジはここが取付きだ。1P目、取付いてすぐ左へトラバースし、凹角状の一枚岩の左へいったん出て、プロテクションを取り右斜め上へ行くのだがこの一歩がなかなか踏み出せない。ホールドは雪に埋まりほじくり出すのが大変だ。その上がまた大変、かぶり気味の脆い岩で右へ行くか左へ行くか迷いウロウロする。岩は非常に脆く掴む岩がみな剥がれ落ちてしまう。下で確保している吉岡さんはザイルはちっとも伸びないのに岩だけはやけに降ってくるなと思ったことだろう。ザイルが伸び切った所でピッチを切り、ハーケンと岩角で確保するが、ハーケンの効きが悪く、岩もあまり信用できない。頼むから落ちないでくれと祈るような気持ちだった。
 2P目、わりと易しい雪稜を行くとすぐ上部岩壁の取付きに出る。3P目、上部岩壁は右へ廻り込んでから取付く。ホールドの豊富な凹角を快適に登る。このルート中唯一快適に登れる所だ。この壁も1ピッチでは抜けられず途中でピッチを切る。4P目、ぐっと傾斜の落ちた雪稜を進むと広いテラスが現れ、ここで一休みとする。主稜組が山頂で手を振っているのが見える。このテラスから先は岩峰を二つ越えるのだが、一つ目の岩峰を右から廻り込み二つ目の岩峰に取付く。二つ目の岩峰を越えると左からショルダー左リッヂが合流し傾斜も緩くなる。コンテでしばらく行くとやがて稜線に出て終了である。
 冬の岩登りの経験の余りない自分にとって、冬期登攀の厳しさを思い知らされた登攀だった。又、厳しかった故に登り終えたときの充実感があった。


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