トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ368号目次

雪上訓練・谷川岳山麓
橋本 千尋
平井 辰夫

山行日 2022年2月19日~20日
メンバー (L)眞鶴、萩原、宮本、小芝(泰)、鈴木(一)、長浜、川口、大瀧、平井、橋本

【2月19日】記録:橋本
 訓練企画は本当に勉強になるし有難い。雪山経験は片手で数える程度、雪崩理解が希薄なまま今に至ってしまったが、雪山をやるなら雪崩のリスクを理解し対策するのは必要不可欠。本を読む事も机上講座を受ける事も大事だが、百聞は一見に如かず。募集が始まる前から参加を決めてこの日を楽しみにしていた。初日の天候は曇り、谷川岳・土合山の家付近にて、11時頃に訓練開始。講師はエデンさんとハギさん。まずはビーコンの動作チェック。その後、コースサーチとファインサーチでビーコン捜索。ビーコンに向かうトレースが直線でなく曲線になっている事も、数ヶ月前まで「ビーコンて何?」状態だった自分にとっては新鮮。エデンさんは要所で「問題です」「何か気づきませんか」とシンキングタイムを設けてくれる為か記憶に残るし、その後の説明で理解が深まりやすい。思えば三峰の方は合理的で説明がわかりやすい方ばかり。山に向き合っているとそうなるのだろうか?続いてプロービング。25cm間隔で雪面に対して垂直に刺す。実際に埋没者を刺して感触の違いを確認する。私のターンでは課長に埋まってもらった。刺す前から「うふふ」と笑い声が聞こえてきた。ヒットするともう一回り大きな笑い声と共に、雪とは異なる柔らかい感触を確認。掘り出しではV字コンベアベルトの配置に。先頭は上からでなく横から掘ると効率的であると学ぶ。続いてアンカー。ピッケルの復習をしつつ、土嚢袋、小枝の寄せ集め、ブス板がアンカーとして機能するか検証する事に。土嚢袋、強い。ブス板、意外と強い!小枝、あっけなく崩れる。小枝の設置の仕方が良くなかったのかもという事で、課長が小枝を設置し直す。課長作の小枝アンカーは強かった。設置の仕方によって強いアンカーが作れるという事が証明された。そして同時に「課長の小枝」から「小枝ちゃん」「土嚢袋小枝」「桂小枝師匠」など、詳細は割愛するが、課長の新たなあだ名が誕生した。1日目最後はハギさんによる弱層テスト。雪柱はケーキ作りのようで楽しかったが、層の部分があまりにも簡単にスライドしたので、自分のこれまでの認識以上に、雪崩は簡単に発生すると考えを改めるきっかけとなった。1日目の訓練は終了、非常に勉強になった。ちなみに夜の出来事について少しだけ触れると、課長のあだ名について全員が連想していたが決して口にしなかった言葉を、ハマ子さんがうっかり、あまりにも自然に発言するハプニングがあった(!)この日イチ笑った^^。ありがとうございました。

講師のハギさんとエデンさん

〈コースタイム〉
【2月19日】
ビーコンサーチの概要説明、捜索、ファインサーチ(11:00) → プロービングの説明、埋没者の感触確認(12:20) → 掘り出し(13:10) → アンカー(15:00) → 弱層テスト(16:00~17:00)

【2月20日】記録:平井
 お笑いの夜が明けると朝からロープの練習(クローブヒッチ)。私的には経験が少ないのでどのような場面で使うのかは想像しきれなかったけれどおそらく今後出てくるのでしょう。
 サクッと講義を終えた後は昨日とは別の斜面へ移動。2班に分かれてお互いに埋め込んだビーコンを見つけ合う訓練。
 斜面をしばらく上ったところ(意外と疲れる)で待機して「助けてください!」と声が聞こえたら応答して全員で探しに行く。これが意外と戸惑います。どの辺なのか聞くと同時に二次被害を防ぐために声かけてくれた人を避難させる必要もある。当然と言えば当然なのですが意外と盲点かも。
  1回目我々Aチームは探す方、相手チームにはエデンさんがいるので意地悪なところに埋めるのかなと思ったが手こずりはしたがなんとか救出。2巡目は鈴木さんが埋めた最後の1つがどうしても見つからずタイムアップ。1名行方不明とさせてしまいました。木の幹周辺の斜面は非常に探しにくいですね。あとおそらく自分たちのビーコンが発信モードになったまま探していた可能性もあり電波が混線してしまっていたかもしれません。
 どちらにしても1名救助できなかったのが心に刻まれました。意外とショック。でもビーコンだけだと面積小さいから難易度が高かったけれど実際だったら救出できましたよ!
 ちいちゃんだけ毎回あさっての方に向かって行っていた気がするのは気のせいでしょうか。
  トラバース時にものを落とした時に取りに行くシミュレーションで私が何を思ったのか滑落するシミュレーションに変換してしまい、思わぬ救助訓練になってしまった。
 でも説明しているエデンさんの目が「何かやれ」って言ってたんですよ。ほんとですよ。
 ・・・人の話はよく聞かないとですね、
 楽しかったから良し。
 昼には撤収し帰路につきました。
 実際の事故現場に出会うことは稀なのでこのような訓練が経験できるのは本当にありがたいです。シミュレーションでも「経験したこと・考えたことがある」ということが非常に重要だと思いました。
 みなさま本当にありがとうございました。

ゾンデであたりをつけてひたすら掘りまくります見守る救助隊・・・ではなくBチーム

〈コースタイム〉
【2月20日】
室内でロープワーク講習(8:00) → 雪崩事故シミュレーション訓練(9:00) → 解散(13:00)


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ368号目次