山行日 2022年11月19日
メンバー (L)坂井、長浜、大瀧、小芝(麻)
三峰山岳会であっても11月に沢登りをする人はあまりいないので、今回岩つばめの寄稿をしてみることにした。この時期の沢登りの魅力を伝えられたらと思う。
この企画をリーダーから持ちかけられた時に、「11月の寒い時期に沢登りなんてとんでもない!」と思ったが、送られてきた遡行図をみたら、なんと適期が11月~4月との記載。もしかしたら意外と楽しいのかもしれないと思い参加を決めた。メンバーは、三峰の女性4人で決行。
車で県道59号線を走ると「三階滝沢歩道入口」看板がある。その前に車3台くらいは止められそうな駐車スペースがあり、そこに車を駐車し出発。三階滝に続く歩道を下っていくと道が崩壊しているため、入渓手前で少しいやらしい泥付きの斜面を下らなければならない。車道から10分程で入渓した。
このルートは、まずは沢下降から始まる。水流を歩いて下るには微妙な滝が続くため、水流脇の乾いた岩の上を、落ち葉に足を滑らせないように慎重に歩く。加えて、川に沿って歩道があり、それを上手く使って巻きながら降りていく。ハイカーにはお勧めしない崩壊っぷりの歩道だが、我ら沢屋にとっては有り難く快適な巻道だ。巻道から再び沢に降りると綺麗なナメ床があり、のんびりと楽しみながら下降していくと、朽ち果てた梯子が見える。どう考えてもこれを使って降りるしか手段はなさそうだ。いつ崩れるかギャンブルだなと思いながらも、体重の軽い我々女子メンバーは難なく通過(笑)。橋を下りきると、末広がりの簾状に落ちる滝下に出る。とても綺麗な滝だ。伊豆にこんな場所があったのかと感動した。
更に少し歩くと、壊れた吊り橋が見え、トロッコレールの跡地につく。鉱山跡に落ちている空瓶や、労働者が使っていたであろう、ヘルメットや作業道具が放置されたままだ。ノスタルジックな雰囲気にすっかり浸ってしまった。またここから三合滝を臨める。沢下降はここで終わり、この先は登りとなる。
沢登り開始早々、12mの滝にぶつかる。右岸の涸沢を少し上がり、急斜面を右上すると踏み跡がありそれを辿ると滝上に辿り着く。その後すぐに"くの字"の滝が見え、そのまま滝を上がる。一見滑りそうだが、フリクションがきくのでさっくりと通過。
少し歩き進めると、釜をもった7mの滝がある。遡行図通り右岸から高巻く。ナメ床を歩き進めると、今度はハング岩とテーブル岩に挟まれた小滝。ここは登ってみることにする。遡行図には左岸のハング気味の岩壁をショルダーで登るとある。リーダーが登るところを模索しているが、左岸の岩壁が立っていて登攀は難しそうだ。また女子だけでショルダーというのも厳しい選択肢だ。別の登攀方法を考えようと、滝の左側の方へ目をやると、水流左のすぐ脇にホールドが豊富で登れそうなところがある。が、そこから登ると確実に濡れる。秋晴れとは言え、10度くらいの気温。ここまで足先しか濡れていない状態で、これ以上濡れたくない。濡れても楽なルートを選ぶか、乾いたルートを頑張って登るか・・・。悩んだ挙句、濡れる選択をリーダーに持ち掛ける。リーダーからそちらから登ってみましょう、というお言葉を頂き、まずは自分が登らせてもらう。濡れながら登ってみると思っていたよりは水は冷たくない。適期が冬というだけはある。岩の滑りもなくホールドもしっかりしていて快適に登れた。5mくらいの高さがあり落ちたらまずそうなので、安全のため残りのメンバーにはお助け紐をだして登攀途中からボディにつけて、登ってきてもらう。後続メンバーも最初の1手に悩んだりしたものの難無くクリア。
コンパクトな沢なので少し歩くとまた次の滝だ。今度は10mほどのナメ滝が出現する。私にとってナメ滝登攀は苦手中の苦手ではあるものの、リーダーに許可をもらい登ってみる。左から水流沿いに右上、そこから一段上がるところが少しいやらしい。でも滑りはそれほどでもないので登れそうだなと思って足をかけると、リーダーから「ロープ引いていって!」との掛け声。そうだった。自分はロープ持ってなかったんだ・・・。登ることに注意がいってしまうと、ついついやってしまう。ロープを受け取る為に一旦下降すると、ずっと水流の中に手を浸していた為、手がかじかんでしまった。水の冷たさと一旦下まで降りてきた事で、すっかりテンションが下がり、リーダーと相談し滝の登攀は諦め、巻くことにする。どちらから高巻くか悩んだが、リーダーの判断で右岸から高巻く。高巻きから下りるポイントは、リーダーが降りやすい場所を見つけてくれた。その後、最後に大きな釜を持つ大滝が現れる。なかなかの迫力だ。この滝は登れないので左岸から大高巻き。高巻いたまま歩いていくと、ガードレールが見えて車道にでる。藪漕ぎもなく快適に遡行終了。あとは車道を歩き、三階滝入り口に停めた車まで戻った。
帰りはススキの綺麗な道をドライブして、修善寺温泉にあるゲストハウスに泊まった。修善寺の紅葉は見ごろを迎えていて大勢の観光客で賑わっていた。夜はクラフトビールを一杯ひっかけた後、居酒屋で大盛り上がり。締めに食べたズガニを使ったカニ汁うどんは絶品だった。翌日はのんびり車を走らせ帰宅した。
11月の沢登りなんてとんでもないと思っていたが、伊豆はやはり暖かい。晩秋の沢登りの楽しみ方を教えてくれたリーダーに感謝したい。コンパクトで綺麗な大滝川三階滝沢をのんびり遡行することをお勧めしたい。
〈コースタイム〉
三階滝沢歩道入口(8:30) → 三階滝下入渓点(8:40) → 三方滝(10:20) → ハング滝(11:30) → 県道駐車スペース(13:00)