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山スキー・上越朝日岳~ナルミズ沢左俣滑降
荻原 健一

山行日 2023年3月4日~5日
メンバー (L)荻原(おぎ)、永岡、萩原(ハギ)、大瀧

 上越朝日岳スキーと検索すれば、必ず出てくる真白な雪砂漠と紺碧の空のコントラストが素晴らしい写真の数々。無雪期のナルミズ沢とは全くの別世界の景色をこの目で実際に見たくて昨年計画したものの悪天で入山すら叶わなかった。そもそもこの山域の山スキーはどこから入っても山深く、日帰りだと超ロングルートになるし、刻もうとするとテン泊装備一式を担いでのスキーとなるので、結構ハードルが高く、限られたものだけがこの素晴らしいロケーションでのスキー滑降を我が物にすることが出来るのだ。
 昨年計画した白毛門からウツボギ沢滑降、広河原B.C.からのナルミズ沢のルートを変更し、今年は宝川温泉から布引尾根を経てのナルミズ沢とし、天気に合わせて日帰りか1泊2日を選択出来る満を持しての計画とした。幸運にもこの週末は2日ともに快晴予報。朝日岳の登頂を確実にするためにテントを持参しての1泊2日の計画で入山することと相成った。

【3月4日】終日小雪
 本日は予報に反して朝から雪が降っている。それも結構強い降り方だ。一旦は宝川温泉手前の路肩に車を停めて出発の機会を探るが、とてもこの天気で出発する気にはなれず一度引き返す。9時頃になってようやく天気が回復してきたので10時頃に戻って来て準備をして出発する。宝川温泉からは林道沿いにだらだらスキーで歩いていく。いい加減飽きてきた頃に板幽沢の出合となり、ここから林道を離れて布引尾根に乗る。出だしは傾斜が緩く地形も複雑だが、1-2日くらい前と思われる薄いトレースに導かれてルーファイの問題はない。しばらくするとトレースが不明瞭になるが、今度は尾根地形がはっきりしてくるので尾根沿いに忠実に登っていく。1,470m台地上に広く平坦な場所があり、気に入ったので予定より少々手前だがここを本日の幕場とする。因みに布引尾根は広く平坦地も多いのでテントさえ持って行けばどこでも張り放題といった感じだ。今夜の食当Oタッキーのきりたんぽ鍋は大好評でスキーチームの夜はいつも通り大いに盛り上がる。

【3月5日】終日快晴
 今日は朝から予報通りのThe Day!だ。朝一の準備運動代わりに布引尾根を1,600m小ピークまで登り、ここでシールを外してナルミズ沢に向けて滑降開始だ。

朝日岳をバックに大烏帽子山方面

 硬い雪に新雪が乗っている好条件で快適だが、あっと言う間に終わってしまう。ナルミズ沢に出たところで再びシールを付けて登りだす。すぐに二俣となり、我々は左俣~朝日岳へのルートを取る。途中クトーを付けるが今日の雪質だと不要だったか?雪砂漠を延々と登ること2時間程度で念願の朝日岳の山頂だ!無風快晴360度の大展望でこんな条件はひと冬に何日も無いだろう。リーダーの日頃の行いが良すぎるのかもしれない?

雪砂漠を延々と登っていく念願の朝日岳山頂!

ナルミズ沢左俣の大滑降  登頂成功の大興奮がようやく静まったころに本日のメインイベントであるナルミズ沢左俣の大滑降の開始となる。天気と雪質は反比例することが多く、なかなか両方が良いということは無いのだが、本日はその両方が最高でメンバーはすっかりスキーが上手くなった気分になってご機嫌だ。写真や動画などを撮りながらであったが、30分もかからず布引尾根の登り返し地点に付いてしまった。
 シールを付けて登り返し、少々滑るともう幕場となる。ここからは重荷を背負っての滑降なのでMPPが心配されたが、幸い雪はザラメ状で滑りやすく杞憂に終わる。林道もシールを付けることなく1時間弱で宝川温泉に戻れて大満足のスキーツアーも終わりを告げる。
 今回は全てのピースが怖いほど上手く揃っての会心の山スキーだった。季節はまだ3月に入ったばかり。三峰スキーチームの快進撃はまだまだ続く。

〈コースタイム〉
【3月4日】 宝川温泉(10:20) → 布引尾根1470m地点(幕)(14:40)
【3月5日】 幕場(6:30) → 朝日岳(10:10~11:00) → ナルミズ沢登り返し地点(11:30) → 幕場(13:00~13:30) → 宝川温泉(15:40)

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