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ハイキング・会津朝日岳
川口 修

山行日 2024年5月25日~26日
メンバー (L)川口(修)、天城、朴

 気軽にお試し参加もできるような山行を・・・と思い、この時期毎年通っている山域でもある、会津朝日岳を避難小屋泊でのんびり訪れる企画を立てた。朴さんが参加してくれただけでなく、天城さんも参加してくれるとのことで、年齢はさておき冬場の山スキーとは異なるフレッシュな顔ぶれでの山行となった。
 もちろんこの時期に山に入る目的の一番は山菜であるが、今年は寡雪に加え雪解けも早く2週前に沼沢湖付近の山域に入った際は、春の山菜はすでに末期症状・・・一抹の不安を抱えてのスタートとなった。
 道の駅ゆのたにを6時頃出て、いわなの里には7時半頃に到着。この週末は天気が良い予報なので、入山者の数が気になっていたが、駐車場には1台のみ、この時間にすでに入っているならほぼ日帰りだろうということで、水も多めに担ぎ上げたいので念のため用意していたテントは車に置いて行くことにした。
 駐車場付近にはヤマウドや木の芽などがチラホラ・・・予想に反してそこそこ期待できそうである。
 身支度を整え、ちょうど8時頃に取り付いた。  まずは渡渉があるが水量は少ない、平坦な道を道端に注視ながらのんびり進む。山菜もさることながら、ちょうど花も見頃で、朴さんは花には非常に詳しく、足を止めては色々な花の写真を撮っていた。
 サンカヨウ、イワウチワ、イワカガミ、カタクリ、ショウジョウバカマなどの春の花やシャクナゲ、ツツジも咲き誇り目を楽しませてくれる。
 入山者も少なく、天気にも恵まれ、気温もそれほど高くなく快適な陽気。
 徐々に傾斜も出てくる登山道をしばらく登り、三吉ミチギの水場で長めの一本をとる。この水場は流れが細いがとても清涼な水を採ることができる。この先水場はないので、少し多めに水を確保した。
 叶の高手までは急登が続き時々視界が開け山深さを実感する。この山深さがたまらないのだ。人見の松を過ぎると程なく尾根に出る。尾根に乗ると大幽朝日やその先の丸山岳まで視界が開けて一気に解放感が増して気持ちいい。
 叶の高手からは少し下りになり、避難小屋まではすぐである。12時前には避難小屋に着き、時間もたっぷり。荷物をデポして山頂へと向かう。
 避難小屋の脇の斜面はしっかり雪渓が残っており、当初は雪渓を使って直登が楽かなと考えていたが、予想以上に夏道が露出していたので、普通に登山道を登ることにした。
 いよいよ核心の山頂直下の急登である。部分的に雪渓が切れている箇所があり、見るからに悪そう・・・軽アイゼンで雪を繋いで、慎重に稜線に詰め上がった。

大幽朝日へ続く稜線山頂直下から臨む鋸刃、こう見えて劇藪・・・

今日の収穫!  目の前に未丈ヶ岳がどっしりと構え、毛猛山塊から浅草岳まで見事な眺望である、遠くには丸山岳や会津駒ヶ岳も望める。しばし山頂で眺望のご褒美を堪能して、慎重に避難小屋まで降りた。
 14時過ぎには避難小屋に戻り、少し遅れて天城さんも到着。
 まずは収穫物を下ごしらえする、当初の不安は杞憂に終わり、コシアブラ、ハリギリ、ヤマウド、ワラビ、ネマガリ等々、十分な量である。ワラビは翌朝のためにあく抜きしておき、あとは天ぷらでいただく。
 朴さんは春の山菜をあまり食べたことがないとのこと、ワラビ以外はほぼ初めてのようで、天ぷらに舌鼓を打ちすっかり山菜の虜である。
 朴さん曰く、「こんなに美味しいものが道端にあるなんて、私の眼は節穴でした・・・」とのこと。(笑)
 そんなこんなで、貸切りの避難小屋での楽しい話と山菜を味わい夜は更けていった。
 翌朝は下山のみということで、のんびりスタートである。
 身支度を整えて7時半過ぎに小屋を出る。今日も天気が良い。
 昨日同様、山道脇に少し目を凝らしながら下山した。駐車場には10時半くらいに着き、只見方面とは反対の深沢温泉むら湯に寄り、温泉とお蕎麦をいただき、那須塩原経由で帰路に着いた。
 今回は朴さんと天城さんに参加していただき、楽しい話と、山菜と、山深い静かな奥会津の山を満喫できた。それにしても天城さんの健脚には感服である。これに懲りず山行にお付き合いいただき、楽しい話を聞かせていただきたい。また来春もこの辺りで遊ばせてもらおうと思う。

〈コースタイム〉
【5月25日】 いわなの里(8:00) → 三吉ミチギの水場(10:00) → 叶の高手(10:20) → 会津朝日岳避難小屋(12:00) → 会津朝日岳(13:10) → 会津朝日岳避難小屋(泊)(14:10)
【5月26日】 会津朝日岳避難小屋(7:40) → 叶の高手(8:30) → 三吉ミチギの水場(9:40) → いわなの里(10:20)

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